更年期は「生殖の身体」から「自分を生きる身体」への転換期
女性の身体は、出産という大きな出来事を経験した方も、そうでない方も、更年期を通して「生殖を目的とした身体」から「自分自身を生きる身体」へと移行していきます。
これは単なるホルモンの変化にとどまらず、身体そのものの設計が次のステージへと変化していく、大切なタイミングです。
甲状腺は“波のように変動する”
更年期の不調の背景には、甲状腺の働きの変化があります。
甲状腺ホルモンは、緩やかなカーブを描いて減少していく……というわけではなく、急に上がったり下がったりを繰り返しながら、ゆるやかに低下していくのが特徴です。
そのため、
・急に汗をかく
・突然不安になる
・理由もなくずっと眠い
といった症状が、周期とは無関係に起こってくるのです。
これまで「生理前に不調が出やすかった」人も、更年期になると予測不能なタイミングで体調が乱れやすくなります。

骨盤の「開く力」が健康のカギ
こうした身体の揺らぎと深く関わっているのが、「骨盤の弾力」です。
女性の身体は、月経や出産に合わせて骨盤が自然に開閉する構造を持っています。
そのため、骨盤がうまく開くことのできる身体は、全体的に流れがよく、しなやかで丈夫です。
「骨盤が開きすぎると太るのでは?」と不安になる方もいますが、問題なのは開きすぎそのものではなく、開き方に左右差があったり、極端に緩んでいる状態です。
とはいえ、それ以上に多くの女性が抱えているのが、骨盤が閉まりすぎていて開かない状態。
骨盤が開かないと、内臓が下がらず血流も滞り、冷えや腰痛、婦人科系の不調にもつながりやすくなります。
男性との違い:締まりが丈夫さの鍵
ちなみに、男性の場合は逆で、骨盤の締まりが良い人の方が身体が丈夫です。
女性は「開く力」、男性は「締まる力」が、それぞれの身体を支える重要な役割を担っています。
甲状腺と骨盤のケアで更年期を乗り切る
更年期を快適に過ごすためには、甲状腺と骨盤の両方に意識を向けてみることがポイントです。
甲状腺の働きを整えるためには、首の真ん中(頸椎4番付近)にある「中頸(ちゅうけい)」を温めてあげるのがおすすめ。
ホットタオルやネックウォーマーでじんわり温めるだけでも、自律神経が整い、汗・ほてり・不安感がやわらぐことがあります。
骨盤についても、ストレッチや呼吸法、軽い運動などを通して開閉の弾力を取り戻すことが、更年期の不調を和らげる手助けとなります。
“自分の身体”を取り戻すチャンスに
更年期は、「女性としての役割」を終えることではなく、“自分自身として生きる身体”へと再構築されていくプロセスです。
甲状腺や骨盤といった、ふだん意識することの少ない部分に少し目を向けてあげるだけでも、身体はゆるみ、呼吸は深まり、心は穏やかになります。
日々の暮らしの中で、自分の身体の声に耳を傾けながら、「これからの私」と向き合ってみませんか?

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